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着物ファッションの変遷と西洋との芸術的対話をたどる展覧会がメトロポリタン美術館で開催

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「着物スタイル:ジョン・C・ウェバーコレクション展」にて18世紀後半から20世紀初頭にかけて作られた60点以上の着物に加え、西洋のクチュール、日本の絵画、浮世絵、工芸品を紹介。

メトロポリタン美術館(米・ニューヨーク)は、6月7日より「着物スタイル:ジョン・C・ウェバー・コレクション展(Kimono Style: The John C. Weber Collection)を開催します。同展では18世紀後期から20世紀初頭に近代の女性のライフスタイルに適応し用いられたT字型の衣服である着物の流行の変遷をたどります。広く知られているジョン・C・ウェバー・コレクションよりメトロポリタン美術館に寄贈される近代の着物も含め、同コレクションの卓越した日本美術品の中から選ばれし作品と共に、メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュート・コレクションの作品も加わり、着物と西洋のファッションの芸術的交流を探求します。男性用と子供用を含む60点以上の着物が西洋のクチュール、日本絵画、浮世絵、工芸品と並んで展示されます。

同展はメアリー・リビングストン・グリッグス・バークとメアリー・グリッグス・バーク財団(2015年設立)の協賛により可能となりました。

メトロポリタン美術館マリーナ・ケレン・フレンチ館長のマックス・ホレイン氏は次のように述べています。「同展では、日本と西洋の芸術的会話に焦点を当て、国境をこえた視点から、着物が世界中のデザイナーに与え続けている影響を紹介します。蒐集家のジョン・C・ウェバー氏がアジアの美術を長期にわたって支援し、同展に近代の着物の寄贈と貸し出しをしてくださることに心深く感謝いたします。」

ダイアン&アーサー・アビー日本工芸アソシエイト・キューレーターのモニカ・ビンチク氏は、次のように述べています。「着物は何世紀にもわたって、女性の歴史と生活を描写し記録するためのタブローとして役立ってきました。これらの手の込んだ衣服の所有者の状況とその製造技術に光を当てると、さまざまな模様と色、そしてそれらの様子が頻繁に変化する傾向から、日本の文化と社会について多くのことが明らかになります。多数の西洋クチュリエやデザイナーにとって、着物は新しいモチーフや斬新なカットを想起させる触媒となり、体と服の間に空間を作ることで着用者に自由を与えるきっかけとなりました。同時に、西洋の製造技術と素材は芸術的なトレンドとともに、着物の近代化に貢献し、新鮮なスタイルを作り出すことに役立ちました。」

よく知られている日本の織り、染め、刺繡の技法は、江戸時代(1615〜1868)に芸術的洗練の頂点に達しました。武家階級が豪華な小袖を発注する主な顧客で、その一つ一つが特別注文でした。同時に、活力に満ちた都市文化が出現し、商人はその富を使って物質的な贅沢を手に入れました。小袖は、日常生活で最も目に見える芸術形態の一つであり、町人が美的感覚を表現する方法としても利用されました。当時使用されていた小袖雛形本と浮世絵は、現代のファッション雑誌に相似し、洗練された生産制度、商売と消費のシステムの証拠となっています。

浮世絵に描かれた小袖のデザインは、19世紀後半に、着物の模様に最初に魅力された西洋のクチュリエによって広く探求されました。その後、着物の比較的緩やかで包み込むようなシルエットとその直線的なカットは、西洋のファッションに最も深く永続的な影響を与えました。マドレーヌ・ヴィオネやクリストバル・バレンシアガなどの前衛的なデザインは着物の構造と幾何学的なラインからインスピレーションを得ました。

明治時代(1868〜1912)に洋服が日本に紹介されました。同時に、近代化と社会の変化または制作技術発展により、これまで以上に多くの女性が絹の着物を手に入れることができるようになりました。その後、着物のモチーフのいくつかは、西洋美術の影響を受けました。 1920年代頃、手頃な価格の銘仙の需要が高まり、より西洋化されたライフスタイルが反映されました。これらは、西洋式マーケティングと経営戦略に従って、西洋化された百貨店で販売されました。

「着物スタイル展」は、テーマ別に、主に時系列で10室のギャラリー編成となっています。多くの染織品は10月に展示替えされます。

クレジットと関連コンテンツ:
企画担当はモニカ・ビンチク(ダイアン&アーサー・アビー日本工芸アソシエイト・キューレーター)とゲスト共同キュレーターであるカレン・ヴァン・ゴッツェンホーフェン。

同展の図録(メトロポリタン美術館発行・イエール大学出版局配布)を当館のメットストアで販売しています。

カタログは、フローレンス&ハーバート・アーヴィング・アジア美術出版基金の協賛により可能となりました。追加のご支援は、リチャードとジュネーブホフハイマー記念基金によって提供されます。

同展に関連するプログラムもご用意しています。詳細はThe Metのウェブサイトをご覧ください。website 

同展は、The Met websiteFacebookInstagram、及び Twitter で#MetKimonosを使用し紹介しています。
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2022年6月03日

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